米国で先週から今週にかけて大手企業の業績報告が相次いだ。米Microsoft,米IBM,米Intel,米AMD,米Apple Computer,米Sun Microsystemsなどが2003年1~3月期の決算を発表したが,これらの業績報告を1つ1つ見てみると各社の状況は一様でない。Microsoft社やIBM社のように増収増益の企業もあるが,米Intelのように横ばい,AMD社のように売上高が大きく落ち込んだ企業もある。昨年の初め,「世界のIT業界は1年かけて緩やかに回復する」と言われていたが,それは実現しなかったことになる。
無線LANでノートPC市場の拡大狙う米Intelの「Centrino」
米Intelが先ごろ市場投入した「Centrino」は本国の米国でも大きく報じられているが,その論調にはあまりポジティブなものがない。例えば,「Intel,無線LAN市場に本格参入も前途は多難」「当面はライバル各社の方が有利」といった具合。ところが当のIntel社はというと,これまでになかった複合的なブランド戦略を展開し,そのマーケティングには巨額を投じている。Intel社の資料に目を通してみると,同社がCentrinoで描く構想は,米メディアが多く報じているような,単なる無線LANのコンポーネント市場への参入だけに留まらないことがことが分かる。
MS vs ソニー,デジタル・メディアを巡り新たな戦い始まる
1月29日,日本で「Microsoft Windows Media 9シリーズ」最終版のリリースが始まった。これは米Microsoftのデジタル・メディア・プラットフォーム「Windows Media Player 9 Series」の日本語版。米国では今年1月7日にリリースされたものだ。Microsoft社はこのWindows Media 9 Seriesで,Windowsを中核としたデジタル・メディアの世界を築こうとしている。1月8日にも,CESの開幕に先立ち,同社会長兼Chief Software ArchitectのBill Gates氏がパソコンを中心に据えたデジタル・エンターテインメントの世界を描いてみせた。ところが今年のCESでは,Gates氏の描く世界に異を唱えた人物がいる。ソニーの社長兼COOである安藤国威氏である。
淘汰が進んだ2002年の米IT業界
今年の「US NEWSの裏を読む」はこれで最後の回となる。読者の皆様には1年間本コラムにお付き合いいただき,感謝の気持ちでいっぱいである。前回はそうした意味を込めて,人物に焦点を当てながら2002年のIT業界を振り返ってみた(「2002年米IT業界で笑った人,泣いた人」)。今回はその第2弾として,企業に目を向けてみる。今年1年間の,「US NEWS FLASH」や本コラムで取り上げた出来事,そして米メディアの報道などを拾って,2002年のIT業界を振り返ってみたい。
IT業界の期待ははかない夢に。年内の需要回復は実現せず
先々週から今週にかけて,大手IT関連企業の決算発表が相次いだ。2002年第3四半期の業績報告である。実は今年始め,これら大手の幹部やアナリストのあいだでは「業界の景気は今年後半に緩やかに回復する」という見方が多く,「US NEWS FLASH」でもそうした観測を伝えてきた。しかし1年の4分の3が過ぎた今,これら大手IT企業の業績を見ると,それが当初の予測通りに進んでいないことがよく分かる。
今秋登場のタブレットPC,あなたは「買い」?
「来週,ニューヨークで開かれるイベントで米MicrosoftがタブレットPC用OSの最新版を披露する」――つい先日,米メディアでこのような報道が流れた。そのイベントとは6月25~27日の「TECHXNY」。なじみのない […]
景気は回復に向かっているのか?—欧米IT企業のQ1決算を検証
この数週間にかけて欧米IT企業各社の今年最初の四半期決算が一斉に発表された。昨年は景気低迷による需要減速に泣き,そこから脱すべく,今年後半の景気回復に向けた目標を設定してきたIT企業だが,各社がこの3カ月間行ってきた施 […]
広がりをみせる無線LANの世界。PCから家電,テレマティックスの分野へも
私ごとで恐縮だが,年明け早々にオークション・サイトで無線LANのアクセス・ポイントを購入した。製品は今週にも到着する予定である。私の事務所では1年前から無線LANを導入しており,私のノート・パソコンにも無線LANカードが装着してある。今度はこれを使って自宅でも「どこでもインターネット」の恩恵にあずかりたいと考えている。今回はこの無線LANの米国におけるこれまでの発達と,パソコン以外への拡大,IEEE802.11aや11gといった新技術の立ち上がりをUSニュースから見てみよう。
2002年のIT市場は緩やかに回復へ,中国のWTO加盟やセキュリティ製品/サービスがけん引
筆者は米国のニュースを毎朝ウォッチして,US NEWS FLASHを執筆している。その中で一つのニュースを見ているだけでは意味が分からないこともある。過去のニュースも含めて,複数のニュースを結びつけることによって,はじめて浮かび上がってくることがあるのだ。この新コーナー「US NEWSの裏を読む」では,複数の米国発ニュースから見えてくる事柄を毎週,記していく。第1回はまず2001年を振り返りつつ,2002年を展望してみよう。