米アマゾン(Amazon.com)は1月28日、管理部門(コーポレート職)を中心とする約1万6000人の追加人員削減を発表した。2025年10月に発表した1万4000人と合わせると削減数は計3万人に達する。コーポレート部門の全従業員の約1割に相当する、過去最大規模の人員削減である。この一連の大規模な組織再編は、コスト削減やパンデミック下の過剰雇用の是正、といった財務的な文脈だけで語ることはできない。そこには、アンディ・ジャシーCEOが抱く危機感と、巨大化した組織を「世界最大のスタートアップ」へと回帰させようとする明確な意思が存在する。26年2月を迎えた今、その改革の全貌と影響が、流通・小売業界全体に対する「問い」として鮮明に浮かび上がってきた。
「官僚主義」の徹底排除と意思決定の高速化
ジャシー氏が組織再編で最も重要視したのは、肥大化した組織に根付いた「官僚主義」の排除である。創業から30年を経て、同社にはあまりにも多くの管理階層(レイヤー)が積み重なっていた。会議のための会議、承認を得るための幾重ものプロセス。これらが意思決定を遅らせ、同社最大の武器であった「迅速性」を奪っていたのである。
ジャシー氏は「組織のフラット化」を宣言し、中間管理職層を意図的に削減した。そのねらいは明確だ。現場と経営陣の距離を縮め、意思決定スピードを向上させること。そして、個々の従業員がオーナーシップ意識を持って迅速に行動できるカルチャーを取り戻すことである。
これは、創業者ジェフ・ベゾス氏が唱えた「Day 1(毎日が創業初日)」の精神への回帰であり、AIという新たなテクノロジーの波に乗り遅れないための、生存をかけた構造改革であった。

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