2006年はIT業界にとって,とても一言では言い表せない年だったように思える。本コラムの今年最後の記事となる本稿では,2006年のIT業界の動きをまとめた米メディアの記事などを読み解きながら,この1年を振り返ってみたい。
Appleが示した“ミッシング・ピース”,映画ダウンロード販売の切り札になるか
米Apple Computerが米国時間9月12日に開いた「特別イベント」は実に盛りだくさんの内容となった。米国のメディアがとりわけ話題にしているのが,映画のダウンロード販売サービスである。
Appleの次期OS「Leopard」は期待外れ?今年の開発者会議はサプライズなし
米Apple Computerが毎年開く開発者向け会議「WWDC」。今年,同社CEOのSteve Jobs氏が披露したのが,次期Mac OS「Leopard(レパード)」。目玉となる新機能の先行プレビューをおこなうとともに,Leopardのリリースが2007年の春になることを発表した。しかし,「予想通りのことを発表したに過ぎない」と手厳しい意見が多かった。
Macの筐体内に”Wintel”,驚き・悲しみ・喜びの「Boot Camp」
青天の霹靂—。 「Apple自ら」が正式にMacへのWindows導入を支援するというわけである。このことはすぐさま一般紙でも大きく報じられ,ユーザーの動揺や興奮が伝えられた。折しも,Macファン・サイト […]
AppleがIntel Macで跳ぶ「その先」とは?
米Apple Computerは1月10日,「MacWorld 2006」で同社初のIntelプロセサ搭載Macintoshを発表した。Appleが狙うものは何だろうか。それはその5日前,ホーム・ネットワークの技術基盤「Viiv」や新たなスローガン「Leap ahead(さあ,その先へ。)」を発表したIntelが目指すところとも重なって見える。
米Yahoo!のKonfabulator買収で始まる「デスクトップの場所取り合戦」の予感
先日,米Yahoo!がWidgets実行用のランタイム・エンジン「Konfabulator」を買収したと報じられた。このニュースに注目している業界関係者は少なくない。「(今回の買収は)短期間でYahoo!社の期待に十分応えることになる,みごとな施策」(米SearchEngineWatch.comのChris Sherman氏)。「Konfabulatorの買収でYahoo!社はWebブラウザの枠を超える」(米Washington Postの記事)といった具合だ。KonfabulatorはYahoo!社とってどんな意味をもたらすのだろうか。
Intelに乗り換えるApple,「開発者の不安」と「Jobs氏の自信」
米Apple Computerが米Intelのマイクロプロセサを採用するという発表を受け,米国のメディアや開発者ニュース・サイト,ブログなどが,さまざまな言葉で驚きを表現している。それもそのはず,これは一般のユーザーにとっては少し期待できる話,古くからのMacintoshファンにとっては大変哀しい話,開発者にとっては複雑な話である。そして当のApple社にとっては,もしもの場合に備えてきた作戦Bの遂行を意味する。
安くて小さいMacとiPod,そこには米Appleの巧みな新戦略が
サンフランシスコで開幕したMACWORLD EXPOで,米Apple Computerが各種新製品を発表した。ハードウエアにソフトウエアといろいろあるが,中でも注目を集めているのが,小型のデスクトップ・パソコン「Mac […]
米Googleが米Microsoftに突きつけた挑戦状
米Googleが米国時間10月14日に提供開始した「Google Desktop Search(ベータ版)」が米メディアで話題になっている。同ソフトは,ユーザーのパソコン内にある電子メール,Webページ履歴,文書ファイル,インスタント・メッセージングの内容を対象に,一括検索できるというもの。何が便利なのだろうか,また,米メディアは同ソフトの何が危険だと指摘しているのだろうか。
「ベスト・ブランド」のソニーが展開する海外戦略
昨年11月,ソニーとドイツのBertelsmannが音楽事業を統合し,新たなレコード会社「Sony BMG」を作ると発表した。この7月20日,欧州委員会はそれを無条件で承認した。米国の連邦取引委員会(FTC)も近日中に承認すると言われており,まもなく世界市場で首位を争う巨大レコード会社が誕生することになる。ソニーはここ最近,世界のトップ企業とこうした事業統合/提携を積極的に進めており,米メディアでもずいぶんと話題になっている。