クラウドコンピューティング市場で米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)や米Microsoft(マイクロソフト)の後を追う米Google(グーグル)。グーグルは、生成AI(人工知能)を組み込んだサービスに力を入れるほか、米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)との連携により、AIコンピューティングやソフトウエア分野を強化する。
一方で、エヌビディアはAI半導体市場で急速な成長を遂げ、2023年5〜7月期決算は純利益が前年同期比9.4倍に達した。しかしエヌビディアは供給不足や、バイデン米政権の対中規制といった問題に直面している。同時に、エヌビディアなどの半導体の製造を手がけるTSMC(台湾積体電路製造)は、消費者需要の低迷や熟練労働者不足などの問題を抱えている。
グーグル、売り上げ1割のクラウド事業テコ入れ
グーグルは23年8月29日、電子メールや文書作成などを組み合わせた企業向けサービス「Google Workspace(グーグル・ワークスペース)」に、生成AIによる業務支援機能を追加すると、年次カンファレンス「Google Cloud Next」で発表した。このAI支援機能は「Duet AI(デュエットAI)」と呼ばれ、これまで試験版として提供してきたが、同日から一般提供を始めた。
グーグルによれば、例えば利用者が「第3四半期業績の概要を作成してください」と指示する。するとクラウド上に保存してある損益計算書や月次事業評価スライド、地域営業担当者の電子メールなどから関連コンテンツを抜き出し、新たなプレゼンテーション資料を作成する。グーグルはこれを法人ユーザー1人当たり月30ドル(約4400円)で提供する。この利用料は、マイクロソフトが23年7月に公表した競合機能と同額だ。
マイクロソフトはGoogle Workspaceと競合する「Microsoft 365」で利用可能なAI支援機能「Copilot(コパイロット)」を23年3月に発表したが、まだ一般提供を始めていない。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、「グーグルはこの新機能のローンチにより、AI搭載の業務ソフトをすべての顧客に提供するという点でマイクロソフトに先行した」と報じている。
本記事は、日経BP社の技術とビジネス変革の最前線を伝えるサイト「xTECH」向けに弊社が執筆した記事「Googleが生成AIでクラウド強化、支えるNVIDIAとTSMCは対中規制などに直面」の一部です。全文は、xTECHのサイトにてお読みください。