2026年の冬から春にかけて、米アマゾン(Amazon.com)はヘルスケア事業において重要な2つの施策を立て続けに公表した。1つは2月に発表した、オンライン薬局「アマゾン・ファーマシー(Amazon Pharmacy)」の当日配送エリアを全米4500都市へ拡大する計画である。もう1つは、医療機関向けの事務自動化ソリューション「アマゾンコネクトヘルス(Amazon Connect Health)」のリリースだ。これらの動向から同社がめざす「医療の垂直統合」の全体像が鮮明になってきた。小売業という出自を持つ同社が、なぜこれほどまで医療の深部へ入り込むのか。その戦略的な意図をあらためて整理したい。
「薬局砂漠」を潤すアマゾン独自のラストワンマイル
アマゾンの「医療の垂直統合」に向けた動きとしてまず注目すべきは、処方薬配送の対象エリアを大きく広げている点だ。アマゾンは26年末までに、処方薬の当日配送サービスの提供先を全米約4500の都市・町へ拡大する方針を示している。26年中に約2000の地域を新たに加える計画で、西部のアイダホ州から東部のマサチューセッツ州まで、幅広いエリアで配送網を拡充する。これにより、従来の郵送では到着まで5日から10日を要していた地域でも、処方薬を翌日ないし数日以内に受け取れる体制が整いつつある。
背景にあるのは、米国で深刻化する医療アクセス問題である。既存のドラッグストアチェーンは、採算悪化による店舗閉鎖や人手不足に直面している。その結果、必要な薬を適切なタイミングで受け取れない「薬局砂漠(Pharmacy Desert)」と呼ばれる地域が拡大し、大きな社会課題となっている。
この空白地帯の解消に向け、アマゾンは自社の強固な物流網を駆使している。地域特性に応じて配送手段を使い分けており、都市部では電動自転車、郊外では電気自動車、遠隔地ではフェリーや馬までも活用する。こうした柔軟な配送体制は、同社の蓄積された物流ノウハウの高さを物語っている。

本記事は、流通・小売業界 ニュースサイト「ダイヤモンド・チェーンストアオンライン」向けに弊社が執筆した記事「薬の即日配送に医療事務作業のDX……米アマゾンが仕掛ける「医療の垂直統合」の全貌」の一部です。全文は、ダイヤモンド・チェーンストアオンラインのサイトにてお読みください。
