米インターネット通販大手アマゾン・ドット・コムは2025年4月28日、衛星ブロードバンド通信網「Project Kuiper(プロジェクト・カイパー)」の最初の運用衛星群を米フロリダ州から打ち上げた。高速インターネットを宇宙から地上へ届けるサービスで、先行する米スペースXの「Starlink(スターリンク)」に対抗する。成長が見込まれる衛星インターネットサービス市場への本格参入で、競争は新たな段階に入る。
全地上に高速通信網、「未接続地域」解消へ
アマゾンが目指すのは、地球低軌道(low Earth orbit、LEO)に最終的に3236基の衛星を配置し、全世界に高速インターネット接続を提供することだ。特に、山間部や離島など、従来の地上通信網の整備が遅れている、あるいは全く接続環境がない「未接続地域」の消費者、企業、政府機関に恩恵をもたらすことを大きな目的としている。アマゾンの執行会長、ジェフ・ベゾス氏は「インターネットへの需要は無限だ」と語り、市場の大きさを強調する。
運用衛星、1年遅れで軌道へ 巨額投資で基盤構築
今回打ち上げられたのは、計画の第1陣となる27基の人工衛星だ。米ボーイングと米ロッキード・マーティンの合弁会社である米ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(United Launch Alliance、ULA)の「Atlas(アトラス)V」ロケットに搭載され、米東部時間4月28日午後7時(日本時間29日午前8時)すぎ、ケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げられた。アマゾンにとっては、1年以上の遅れを経て初の運用衛星投入となった。衛星は高度約450キロメートルでロケットから分離された。今後アマゾンは衛星が自律的に機動し、地上との通信に支障がないかどうか確認していく。
プロジェクト・カイパーは、アマゾンが100億ドル(約1兆4200億円)以上を投じる巨大プロジェクトだ。同社は直径30cmほどのアンテナなど、1台400米ドル(約5万7000円)以下の消費者向け端末を数千万台規模で製造・販売する計画も明らかにしている。

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